言熟文源録【ことば紀行】

ふっくら熟れたことばの実。そのタネをみつめる旅に、出かけましょう。

ピテカン?神社? #57

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1920年から、原始人の登場する劇場は場所を移して、ピテカントロプスの舞台の上に新たな装置をつけ加える。

(アンドレ・ルロワ・グーラン『身ぶりと言葉』(ちくま文庫)

ふーむふむ、ピテカントロプス、ね。

今日では、ジャワで発見された原人段階の化石人類の通称として用いられる。ジャワ原人ともいう。ギリシア語のピテコスpithekos(サルの意)とアントロポスanthropos(ヒトの意)の合成語で「猿人」の意。

(『日本大百科全書』小学館)

ナルホド、猿っぽさと人っぽさが共存していた、ということかな?

 19世紀後半にヨーロッパ大陸で進化論の普及を図ったドイツの生物学者ヘッケルは、類人猿とヒトをつなぐ鎖のうち、一つの輪は失われたとし、その「失われた輪」に相当する化石動物にピテカントロプス・アラルス(言語なき猿人の意)と命名した。その予言を信じたオランダの人類学者デュボアはジャワに渡り、1891~92年にソロ川のほとりのトリニールで、脳頭蓋 (とうがい) と大腿 (だいたい) 骨とを互いに十数メートル離れた地点から別々に発見した。大腿骨は現生人類的であったが、脳頭蓋は低く、とくに前頭部が著しく圧平されており、その当時として他に類例をみないほど半猿半人的であった。

(同)

ふふ、やっぱり。「らしさ」を活かした一種合成だね。

ごく最近でもイタリアの先史学者D・レオナルディは、ジンジャントロプスについて「これと同時代に生きていて……未知のままである真の人類」という主題を取り上げていた。

(『身ぶりと言葉』)

とても神社っぽいこちらは、ピテカントロプスから推理してみると、「ジンジャン(???)+トロプス(ヒト)」かな。

イギリスの人類学者のL・リーキーが、1959年にタンザニアのオルドワイ渓谷で発見した猿人頭骨に名づけられた分類学上の属名。正式にはジンジャントロプス・ボイセイという。ジンジ(アラビア語で東アフリカ)とアントロポス(ギリシア語でヒト)の合成語。

(『日本大百科全書』)

ほー、アラビア語からの借用でしたか。タンザニアのあたりは8世紀ごろからアラブ人が移住して、地元のバントゥー語にアラビア語の語彙 (ごい) が取り入れられたスワヒリ語が共通語になったみたいだから、そこにあやかったんだろうな。なかなか粋な合成ジャン。